君に愛の唄を
私は書く手を止めた。
「蓮って本当に馬鹿だね。大事なこと忘れてるよ?
んー……じゃあ、蓮は外国語の通訳する人を情けないって思う?」
蓮は顔を横に振った。
暗くて蓮の顔が見えずらい。
月の小さな儚い光が私達を優しく照らしてくれている。
「蓮は通訳してるんだよ。詞を書いた人の変わりに歌ってみんなに伝える…凄く凄くカッコいい人…」
そう。
蓮は詞を書いた人の通訳をしてる
凄くすごーくカッコいい人。
誇りを持たなきゃ。
大切なのは歌を伝えること。
大切なのは歌が好きかどうか。
ただ、それだけ。
「通訳……」
「そうだよ。だからそんな暗い顔してないで笑いなよ。カッコいい顔がもったいない」
蓮がフッと笑ったから
私もフフッと笑ったんだ。
蓮?
蓮はね、自分が思ってるより凄い人なんだよ。
だから自信を持って。
大切なことは、
すぐ目の前にあるんだから……