君に愛の唄を


「俺な、中学ん時めっちゃモテてた。これでもかっていうぐらい…そん時は別に悪い気しなかった」



私は時折、相づちをうちながら蓮の話に耳を傾ける。


蓮は過去を思い出すように下を向いて話す。



「俺、歌が好きでオーディション受けたんだ。それで合格して高校生になると同時に歌手になった。

で、俺は普通に高校生活を送りたかったからこんな風に変装じみたマネして学校に通ったんだ。

そしたら、それまで俺に言い寄ってきてた女達は俺に寄って来なくなった。何だか悲しかった。結局、俺の顔しか見てなかったんだなって…

だから俺はこの顔が嫌いなんだ」



過去のトラウマが蓮の瞳を凍らせていたんだね…


冷たく。
氷みたいに。


私は顔なんて関係なく蓮を好きになった。


蓮はかっこいい。

顔も性格も仕草も言葉も…


蓮は私のヒーローみたいにかっこいい。
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