君に愛の唄を


それから私は歌わないで済むように、あらゆる言い訳を試してみた。



「声が枯れて歌えない…」



と、かすれた声で言っても



「のど飴あげるから治してきな?」



と、のど飴をもらった。


……失敗。



「私、極度の上がり症なの!」



と言っても



「大丈夫!心菜ならやれる!」



なんて言われて流された。


……失敗。



『あ゛だしの片想い゛は~』



と、わざと下手く歌っても



「ちゃんと歌いなよ心菜。私は心菜の実力知ってんだからね!」



と、怒られた。


……失敗。



もう!

どうすればいいのよ!



私はみんなが会場の準備をしている中、そこら辺の段差に座った。


私、ふてくされてる。

私、わがまま言ってる。
< 246 / 310 >

この作品をシェア

pagetop