君に愛の唄を
それから私は歌わないで済むように、あらゆる言い訳を試してみた。
「声が枯れて歌えない…」
と、かすれた声で言っても
「のど飴あげるから治してきな?」
と、のど飴をもらった。
……失敗。
「私、極度の上がり症なの!」
と言っても
「大丈夫!心菜ならやれる!」
なんて言われて流された。
……失敗。
『あ゛だしの片想い゛は~』
と、わざと下手く歌っても
「ちゃんと歌いなよ心菜。私は心菜の実力知ってんだからね!」
と、怒られた。
……失敗。
もう!
どうすればいいのよ!
私はみんなが会場の準備をしている中、そこら辺の段差に座った。
私、ふてくされてる。
私、わがまま言ってる。