君に愛の唄を
「本気で歌いすぎ…」
ステージ袖に戻ると蓮にそう言われた。
確かに。
力入れすぎたかも……
「俺も負けてられないな」
「蓮には負けるよ」
そう言うと蓮はフッと笑って私の頭にポンと手を置いた。
私はそれに笑顔になる。
「そこ、ラブラブすんなよなー!」
こ、怖ッ!
みんなの視線が痛い。
「関係ねぇ」
蓮はそう言うと、私の頭に顎を乗せて腕で私を後ろから軽く抱き締めた。
まるでみんなに見せつけるみたいに。
『ボッ!』と顔が赤く熱くなったのは私だけではなかった。
きっと、蓮以外のみんな。
一瞬だけ沈黙があったかと思うと、みんなの笑い声が響き渡ったのだった。