君に愛の唄を


──バンッ!!


勢いよく開いた屋上の扉は爽快な音を立てた。


さ、寒い…


思わず手で腕をさする。


冬はもうすぐそこに迫っていた。



「でも、まぁ丁度いいか…」



私の頭を冷やすのには。

秋の終わりに近い風は私に冷静さを取り戻させてくれた。


でも、寒すぎ…?


思えばいつもカーディガンの上にブレザーを着ている私が今はカーディガンしか着ていない。


こりゃ、寒いわ。


私はカーディガンのポケットに手を入れ、ジャンプした。



「寒そうですね」



私は声の主を予想しながらジャンプで後ろに振り向いた。


やっぱり「蓮…」だった。


蓮は私の隣に立ち、当たり前かのように私の左手を右手で握ると自分のポケットの中に入れた。


温かい…
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