君に愛の唄を


「大丈夫か?」


「……」



大丈夫じゃない、と思う。

だけど、普通に考えてそんなこと言えるはずなくて…


紗英、怒ってた。

私がココロだって黙ってたから。


…私が紗英を騙してたから。


騙したつもりも裏切ったつもりもない。


だけど、みんなにバレるのが怖くて紗英に秘密にしていたのは事実だ。


私が騙したつもりはなくても、
紗英は騙された気分なんだ。


紗英を失いたくないよ。

とても、大切な存在だから…



「ねぇ、何でバレたの…」



蓮は答えてくれた。


たまたまクラスメイトの一人が職員室に行ったらしく、私がココロと先生に言っている場面を目撃してしまった。


そして、みんなに言いふらした…と。


そりゃ、そうか。


ココロが自分のクラスにいるってわかったら普通に興奮するよね…


全ては自分で撒いた種。


…なのに、涙が出て来る。
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