君に愛の唄を
私は力なくイスに座り直し、膝の上の手に力を入れて泣いた。
フルフル震える手
ボトボト溢れる涙
心にぽっかり空いてしまった穴に、冷たい風を感じた。
失った。
たった一人の親友を…
今さらなにを言っても同じなんだけど、悔しくて悔しくてしょうがない。
紗英の言う通りだ。
結局、紗英を完全には信用できてなかったのかもしれない。
そして紗英を傷つけた。
友達失格だ…
「紗英…ごめん…ごめん…」
静かに大粒の涙を流す私を物珍しそうに見るみんなの視線に逃げるように店を出た。
──ポタポタ…
と、何かが私の頭に落ちて来た。
上を見上げると額に落ちて来た雫。
雨だ……
だんだん激しくなっていく秋雨。
みんなが駆けている中、私だけが立ち止まり雨を浴びていた。
惨めだ。
だけど、雨が冷たく惨めに感じる反面、
雨の音と冷たさが心地良く感じた。