君に愛の唄を
私は次の日、学校を休んだ。
別に体の調子が悪かったわけじゃない。
風邪をひいたわけでもないし、
熱をだしたわけでもない。
だけど、朝起きて制服を手に取ろうとすると躊躇してしまって…
やる気がでない。
ただただ気力がない。
お母さんに「風邪ひいたっぽい」と言うとお母さんは納得してくれた。
きっと、昨日ビショビショに濡れて帰って来たから風邪をひいたんだと思ったんだと思う。
ベッドに入り、天井を見つめていた。
昨日の紗英の悲しげな顔と涙を流している姿が頭から離れない。
胸がぎゅっとなって苦しくなる。
それに乗じて涙も……
私は目をギュッと瞑り、掛け布団を頭が隠れるまでかぶった。