君に愛の唄を


「ねぇねぇ」



ツンツンと蓮の腕をつつく。



「ん?」


「…好き」



蓮に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で呟いた。


蓮の照れた顔を見た瞬間、私は蓮に手をグンッと引っ張られた。

そして、人から見えないような木の後ろに連れてこられた。



──チュッ…



キス。

一瞬だけのキス。



「……バーカ」



蓮がそう言って優しい笑みをこぼした。

だから私も笑った。


おでこをくっつけながら笑う二人の周りには、優しい空間ができていた。



世界はこんなに広いのに

二人が出逢えたってことは

運命よりもすごいことだよね?



私はそう思うよ。
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