君に愛の唄を
私と紗英は場所を教室から屋上へと変えた。
紗英が「話、聞いてくれる?」と言ってきたから私は快く了承した。
さすがに教室じゃ話しづらい…
きっと今頃、教室ではHRが始まってるんだろうな。
さむっ…
「あのね…」
「うん」
紗英は空から私に視線を変え、ゆっくりと口を開いた。
そして紗英はお腹に手を当てた。
「みんなが言ってたこと、本当なんだ。彼氏との赤ちゃんできてた」
紗英はお腹を愛しそうな眼差しで見つめ、優しく包み込むように手でお腹をさすっていた。
その雰囲気はまるでお母さん。
温かいお母さん。
「私、産みたい!誰に反対されようが関係ない。この子は産むわ!」
私に訴える紗英のその目は、とても真っ直ぐで迷いがなかった。
覚悟はできてる、そう言わんばかりの気迫が伝わって来た。
私はゆっくり紗英に歩み寄った。