君に愛の唄を


しばらくすると、紗英はだいぶ落ち着いたみたいで。

二人並んで座った。



「心菜…本当に、本当にありがとう。屋上に来るまでの間、凄く不安だった。軽蔑されたらどうしようって…」



バカだなぁ。



「さっきも言った。ずっと友達だって。どんなことがあっても、私は紗英の見方だから!」



私は出来る限りの笑顔で言った。

その言葉で紗英はまた泣き出してしまった。



「ほら泣かないの。本当、泣き虫なママでちゅね~?」



私は自分のブレザーを紗英の肩にかけ体を冷やさないようにし、お腹に話かけた。


紗英は泣きながら笑って「泣き虫なママじゃないよ~」って赤ちゃんに話かけた。



「ねぇ、触ってもいい?」


「もちろん!」



私は紗英のお腹に優しく触れ優しく撫でた。



「おーい、聞こえてる?元気に生まれて来て、ママを安心させてあげてね?君のママはね最高に優しくて綺麗なママだよ」



絶対、元気に生まれて来てね。


絶対だよ。
< 281 / 310 >

この作品をシェア

pagetop