君に愛の唄を
歌姫降臨*君に愛の歌を
「予定日、来年の6月30日だって!」
「そうなんだ、楽しみだね!……てか寒くない?大丈夫?」
病院を出ると冷たい12月の風が私と紗英に容赦なく攻撃してきた。
思わず体を震わせる。
今日は紗英の彼氏、陽平くんの変わりに紗英の病院について来た。
紗英は、なんだかんだで上手く行ってる。
紗英も陽平くんも産む気満々で、そんな二人の両親は最初こそ"高校生だから"と反対していた。
でも、二人の意思は強かった。
陽平くんの"高校卒業"という条件つきで紗英の出産を許してくれた…らしい。
紗英は冬休みで退学する。
紗英は『お腹が大きくなったら制服が入んないし、何より大きいお腹で卒業式なんて出られない』とのこと。
それに学校側も"妊娠した生徒がいる"とあまり知られたくないらしい。
私的には残念。
紗英と卒業したかった。
だけど紗英はもう一人じゃない。
大切な大切なベビーが紗英の体の中にいるんだもんね。