君に愛の唄を
「それじゃ、私はお邪魔みたいなんで帰りますね」
「心菜、せっかくの日曜を私のためにごめんね?ありがとう!」
私は笑顔で頭を横に振ると二人に背を向けて歩き出した。
腕時計を見ると14時を指していた。
あ、ギリギリ……
歩く速度を少し早めて進んだ。
14時28分…
待ち合わせ時間ギリギリに待ち合わせ場所についたようだ。
──バッ…
「だーれだ!」
その声と同時に私の視界が誰かの手によって真っ暗にされた。
……もう。
わからないわけないじゃん。
私はその手を掴むと「蓮でしょ?」と手を退かして後ろに振り向いた。
「正解」
「正解、じゃないよ。わかるにきまってんじゃん!」
蓮はどこか満足そうな顔をしていた。
いつもそう。
私を驚かせては、満足そうに笑って。
でも、そんな満足そうな笑顔も私は大好きなんだけどね。