君に愛の唄を
あ…… ヤバい。
泣きそう。
「心菜…」
「蓮、頑張ってよね!私は応援するよ」
蓮に何も言わせないように話す。
苦しい…
「心菜…」
「あ!そういえば私、先生から呼ばれてたんだった!……じゃあね!」
──バタンッ…
虚しく響く扉の閉まる音。
私は扉に背中をくっ付けたままズルズルと力が抜けるように座り込んだ。
「ウッ…グスッ…ふっ…」
溢れる涙は悲しく流れてゆく。
光がないこの空間が今の私にはすごくよく似合っていて…
行かないで、と素直に言えないのが悔しいような悲しいような。
もどかしいような。
素直に蓮を応援できていないのも悔しくて悲しくて。
……少し遠くに行くだけ。
だけど、すぐ近くにあった安心がすごく遠い世界に行ってしまう。
そして簡単には手が届かない。