君に愛の唄を
ところで。
高校生の私がどうやって歌手になったかと言うと……。
私のお母さんが元歌手。
私の歌唱力はお母さん譲りだ。
お父さんはレコード会社に勤めていて。
昔からピアノやっていた私は趣味で自分で作詞作曲していた曲をお父さんに見せた。
「これは売れる!」
そう言ってお父さんがレコード会社やプロダクションなどにかけあってくれたおかげで歌手デビューすることができた。
だけど私はどうしても顔を出したくなかった。
べつに恥ずかしいってわけじゃない。
売れた時に普通の生活を送れなくなるのが嫌だった。
普段の生活にある小さな幸せや嬉しい事が離れていっちゃう事が嫌だった。
だから世間はココロの素顔を知らない。
レコード会社の人達や音楽関係者達は知っているがその他は全く知らない。
小さな幸せを歌いたい歌手。
裏を返せば、ファンの期待を裏切っている歌手。
それでも私は小さな幸せを伝えたい。