君に愛の唄を




帰りのHRが終わり、鞄に教科書とノートを詰め込んでいると紗英が歩み寄って来た。




「心菜!今日カラオケ行かない?」



「あ~、ごめん!」




私はごめんという気持ちで、顔の前で手を合わせてそう言った。



今日はどうしてもサラリーマンの歌詞を完成させたかったんだ。



曲は前から出来ていて、あと歌詞を考えるだけだったんだ。




「え~!心菜にココロ歌ってもらおうと思ってたのに~」



「本当にごめん!」




私は逃げるように、教室を出た。



紗英はよく私にココロの曲を歌わせる。



私の歌声がココロにそっくりだからって・・・私がココロなんだから当たり前なんだけど。



そのたびにバレそうで怖い。



でも、紗英にはいつか本当の事を言いたいと思っている。



紗英なら受け止めてくれるはず・・・




私は紗英を信じている。





< 39 / 310 >

この作品をシェア

pagetop