君に愛の唄を
私がぼんやりそんな事を考えていると、
「り~く~!」
と、陸を呼ぶ大きな声が聞こえて来た。
私と陸は、ほぼ同時に「ビクッ」と驚いて体が動いた。
声がした方を見ると、そこには一人の女性が立っていた。
きれいな人…
斜め分けの髪の毛は肩より長くウェーブがかかっていて、白い生地に少しピンクがトレンドのワンピースが色白の女性に凄く似合っていた。
もしかして・・・
「奈々!」
陸はその女性を『奈々』と呼んだ。
そうか…
この人が陸の彼女『奈々』さんなのか。
・・・完全に負けた。
こんなきれいな人に、この凡人の私が勝てるわけない。
悔しいけれど、美男美女でお似合いだ。