君に愛の唄を
私は、今度こそ携帯の通話ボタンをすぐに押すことができた。
「・・・もしもし?」
私はボタンを押した勢いと裏腹に、声は意外と小さかった。
「出るの遅い!!明日、遊びに連れて行ってやんないからな!」
「そんなの嫌だ!!」
私は、そう言ったあとに口に手を当てて言ったことを後悔してしまった。
何言ってんだろう。
陸が困っちゃうじゃん。
奈々さんという彼女だっているのに。
「心菜は相変わらず素直で可愛いなぁ!・・・じゃ、明日どこ行く?」
・・・陸のいけない所だよ。
そんな簡単に『可愛い』なんて女の子に言っちゃ絶対ダメだよ。
・・・ドキドキして仕方ない。