君に愛の唄を


助手席に座ったあとに陸の顔を見て笑ってみる。


陸も同じように笑ってくれた。



陸の笑ってる顔をみると溢れてくるんだ……好きって気持ちが。



そして、胸がきゅんってなるの。


これって立派な恋だよね?




「一瞬だけ本物のお姫様に見えた…」


「えっ…」




陸が真顔でそんなこと言うから、素直に嬉しくて顔が赤く染まっていくのがわかる。



赤く染まっていくのがわかるから、もっと恥ずかしくなるんだ。



嫌な…でも幸せな連鎖だね。



私がお姫様なら陸は王子様だよ。



ねぇ、陸…私を護る王子様になってよ。

陸が王子様なら、なんの不満もない。

むしろ、大満足だよ…




「まっ、お姫様にしては少々おこちゃまだな!」


「陸は一言多いよ!」




でも、好きなんだよ。

好きで好きで仕方ないんだ。



おこちゃまじゃないよ。


妹じゃない。




私は女なんだよ。

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