君に愛の唄を
「心菜は、まだ若いから自分の気持ちに素直に生きろよ?」
急に何言い出すかと思えば……
今の私には理解不能な言葉だった。
この時、陸がどんな気持ちでこんなことを言ったのか…
わかるのはまだまだ先のこと。
「心菜には後悔して欲しくない」
「うん…」
わざと、軽く受け流した。
だって、そんなこと言われたら「好き」だって言いたくなるに決まってる。
そうなると後々、後悔するのはきっと私自身だから。
「陸だって後悔することしちゃダメだよ?」
「俺な……、奈々にプロポーズしようと思ってるんだ」
──ズキンッ
何でそんな話するの?
「でも、迷ってる…」
そう言った陸の肩は、微かに震えていた。
真剣に悩んでいるのがわかる。
私は陸の背中を優しく擦った。
どうしたの?