君に愛の唄を
「兄貴…って?」
私は蓮の胸から少し離れて、代わりに蓮の腕を"きゅう"と握って言った。
「えっ?あ、いや…」
「正直に答えてよ」
蓮は嘘が下手なんだね…
蓮は困った顔をしていたけど、私はじっと蓮の目を見つめた。
すると、観念したようにため息をもらして口を開いた。
「お前が始業式にいなかったから、どうせサボりだろうって俺もサボりに来たらさ……全部聞いた。
…お前が好きだった陸ってやつは俺の兄貴なんだ」
そう告白されたけど、予想より驚かなかった…
でも、陸と蓮が兄弟ってなんだか分かる気がする。
「実は、兄貴とお前が知り合いだってこと知ったのはずっと前のことなんだ」
「え?」
「俺が兄貴の家に行ったら、お前が兄貴の家で寝てるんだもんな。正直びびった…」
私が陸の家で寝てた?
……あ、海に行った日のことかも。
「じゃあ、何で陸と蓮って名字が違うの?」
「親が離婚したから。俺がおふくろについていって、兄貴が親父についていったから…」