君に愛の唄を
私は"それ"の中身を丁寧に取り出して、はっきりと思い出した。
……あの時の指輪だ。
「…やっぱり、そうだ……」
箱を開けたら可愛らしい指輪が顔を覗かせていて、春の陽気でキラキラ輝いて見えた。
「プレゼント…って私のために?」
あの日、確かに蓮は"プレゼントを買いに"と言って買い物へ行った。
でも、私のためにではないだろう。
どうせ本命の子に渡せなかったから私に渡したんだ。
きっと、そう……
『なぁ…俺にしとけよ』
きっと……
『俺は心菜が好きなんだ…』
どうすれば、いい?
蓮を失いたくないよ…
だけど、蓮と付き合うっていうのはなんか違う気がする。
ねぇ、いつから?
いつから想ってくれてたの?
私はずっと、気づけなかった───