君に愛の唄を



「どうしよ、気まずい…」


「何が気まずいの?」



その声は携帯からではなく、なぜか隣にいた『蓮』から聞こえた。


なんで?
いつから私の隣に…


蓮は、にんまり笑って私を見つめてきた。


出た、蓮の多重人格。



「ちょ…もしもし、心菜?どうたの?」


「ごめん…切るね」



本当、ごめん紗英。
後でちゃんと説明するから。


携帯をとりあえずポケットにしまった私は横目で蓮を見た。


バッチリ合った目を反らしたのはもちろん私で……



「はぁ…お前ね、意識しすぎ」



そう言って私の頭に手をポンッと置いた蓮の表情は真剣かつ優しい眼差しだった。


私…意識しすぎ?



「別に今すぐじゃなくていいから… 心菜が俺を好きになってくれるのを待つ……待ってるから」



頭のてっぺんにあった蓮の手が私の髪を撫でていた。


顔が火照る。

ドキドキうるさい。


蓮の後ろにある太陽のせいで蓮が輝いて見える。


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