【完】好きです片桐くん!!
「そう…か」
片桐くんは顔を伏せて、一歩、前に出た。
尋常じゃない片桐くんの雰囲気に少し驚いたのか、相手の男二人は同時に後ずさりをする。
「片桐くん!ちゃんと本当のことをみんなに言って、今度はちゃんとした試合を……」
「―――すいませんでした」
………え?
誠実な声が、一度だけ響いた。
目の前を真っ直ぐ見てみると、片桐くんが男の人たちに頭を下げている。
なん…で?
「な、何でよ片桐く―――!?」
「このたびは、橘…いえ、うちの学校の女子生徒が礼儀知らずな口を利いてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
片桐くんは私の言葉を聞かず、淡々と謝りの言葉を並べていく。
何で!?なんでなんで…
「……っち、何だよこいつら。もう行こうぜ」
「そうだねー。俺、腹減ったー。オムライス食べたい!!」
片桐くんが謝ったことで戦意を喪失したのか、男の人たちはそんな会話をしながら姿を消した。
「………」