【完】好きです片桐くん!!



片桐くんがいきなり目の前に現れて、思考回路がメチャクチャになる。

何も考えられなくて、何か言ったら片桐くんに嫌われるんじゃないかって思ったり…


「………謙虚」

「は?」


ポツリと呟いた私の言葉に、片桐くんは意味が分かっていないようだ。


「……片桐くん、私マネージャーの仕事があるから。また後でね」

「え?たち…ばな??」


いつもの私なら、ここで片桐くんにガバリと抱き付いても良いところだ。

だが“落ち着き、謙虚”という言葉が頭の中でグルグル回って、いつものように振る舞えない。


「あ、橘!ちょっと手え貸してくれるか!?」

「は、はーい!!」


かなり不自然に、片桐くんに背を向けて走り出した。


「―――橘!!」


「ふぇ…?」



< 203 / 322 >

この作品をシェア

pagetop