彼は何より血を愛す
釘
『まずはどうしようか……
俺はお前を傷つけてから殺したいからね……』
腕を組んで机に置いた道具を見る男。
その間も俺は縛られた手足を動かして
ここから出ようと出来るだけ頑張った。
でも絶対に無理。
『あぁ…そうだ……』
身体がビクッと震えた。
『手足を縛られるのが嫌みたいだから……
釘で打ち付けてあげる』
左手に釘を持ち右手に金ヅチを持って笑顔で俺の顔を見てきた。
吐きそうになる笑顔。
叫び声も上げずに手のひらに当たる釘の冷たい感覚を感じた。
やめろ……
「や……めろ」
『あはははははは!!!!』
やっと出た声は男の笑い声でかき消された。
「ぎゃあああああ!!!!」
手のひらに刺さった釘。
冷たかった釘は
とても熱い物に変わった。