極彩色のモノクローム
「嫌。こんなの。」


呟くみたいに言った私を、母は睨んだ。


「あなたの幸せの為よ。諦めなさい。」


母の言葉に、
唇を噛む。



また、


私は諦めるのか。



この、名前も知らない男と

一生を添い遂げるの?


私の意思は?

気持ちは?


マスターに引き寄せられた時に香った、
微かな珈琲の香りを
思い出した。


私の願いは、

また

叶わないんだ。



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