極彩色のモノクローム
白黒の視界が
グニャグニャに歪んで見える。


いっその事、
見えなくなってしまえばよかったのかもしれない。


そうよ。

見えなければよかった。


こんな、
わけのわからない紙も

気持ち悪い男の笑みも

母の責め立てるみたいな目も。


見えなければよかった。


マスターの

笑顔なんて、

名前なんて。


知らなければ、よかった。



ねぇ神様、

私が何か、

悪い事をしたのでしょうか。


それとも。


「そんなに、僕の事…嫌い?」


静かな部屋に

声が響いた。



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