極彩色のモノクローム
「ねぇ、ママ。
僕が…奈々のかわりに死ななかったから?」


絞り出す声が、
掠れた。


「奈津は悪い子で、
いらない子だから?」

「奈津。」


父が呼ぶ声も、
今の私には届かない。

溢れ出した涙が零れるのを、

唇を噛み締めて堪える。


強く噛みすぎた下唇から、
血の味がした。


「だから、奈津が嫌いなの?
嫌いだから、こんな事するの?」


私の問いに、
母は答えはしない。


「僕が、奈々だったら…」


左手のタトゥーを撫でる。



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