極彩色のモノクローム
「僕を、買って。」
小さく、そう告げた。
私の最後の願い。
貴方に、
抱かれたい。
マスターがそれを聞いて、
息を飲んだのがわかった。
「何が、あった?」
マスターはしばらく何か考えるように黙った後、
そう聞いた。
「書いてもいない婚姻届出されて、いつの間にかそういう事になってたの。」
私がそう言ったら、
マスターは
「なんだよそれ。」
と呟いた。
私はその肩に目を押し付ける。
好きって言ってしまいそうになるのを、
何とか飲み込んで。
そんな、重い関係じゃなくていいんだ。
あの担当医みたいに、
ボランティアだか
募金活動の一環で構わない。
「だから、あんな好きでもない人に汚される前に、僕を汚して。」
私の言葉に、
マスターの腕が強く、
私の体を引き寄せた。