極彩色のモノクローム
私は膝を抱えて、顔を伏せていた。

泣きすぎて噎せたその時。

私は嫌な予感に震えた。

喉が嫌な音をたて始める。


来るよ、奈々。
アレが来るよ。


ギュッと目を閉じる。

絶望の色を乗せて、アレが来る。


そこで気付いた。
奈々はいないんだ。


私の変化に一番に気付いてくれる奈々は、
いない。

「民恵さん。奈津ちゃん、発作じゃない?」

親戚のおばさんが言ったのが聞こえた。

「ああ!もう!この子はこんな時に!!ほら!自分でやって!奥の部屋に行きなさい!!」

投げ付けられた薬を拾い上げて、吸い込む。

涙が溢れて止まらない。

「ごめ…なさ…」

咳込む合間に謝って、
一人、部屋の隅でうずくまる。



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