極彩色のモノクローム

手の先がジンと冷たい。


目を閉じれば、
さっきまで隣にあった温もりに頬が緩む。


夢みたいだ、と思う。

この際、夢でもいい。


最高に、幸せだった。


愛する人に抱かれる事が、
あんなにも心満たされる事だなんて、知らなかった。


この記憶さえあれば、

他には何もいらないとさえ思う。


私は、勢いをつけて立ち上がった。


じっとしていても仕方ないし、
次の駅目指して歩き始める。


暗い道を、ゆっくり歩いた。


気分だけは明るかった。



これから、


死のうと思っているのに。



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