極彩色のモノクローム

打ち寄せてくる波に向かって歩く。


ブーツの中に水が入って来て、
驚くほど冷たかった。


その冷たさに一瞬止まった足を、
再び前に進める。


コートが水を含んで、どんどん重くなって。


息が詰まるほど冷たい水に、体の芯まで凍り付いていく。


いよいよ足がつかなくなって、
私は目を閉じた。


波の音が、耳の奥で揺れた。


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