極彩色のモノクローム
心電図の音が
耳障りだ。
独特のニオイに、
糊のききすぎたシーツ。
病院だと、すぐにわかる。
どうやら私は、
生きているらしい。
呼吸が苦しくて、
深く吸い込んだら
噎せた。
「…目が、覚めましたか?」
問われて、私はゆっくり目を開けた。
白い天井。
明る過ぎて真っ白に染まる室内。
覗き込んでくる、女の人。
「自分が何をしたかは、覚えていますか?」
問われた私は、小さく頷いた。
「サーファーの方が、助けてくださったんですよ。そんな弱った肺で。水を飲み込んだらどうなるか、知っていたでしょう?」
私は、もう一度頷いた。
責められている。
でも、不快ではない。
腫れ物を扱うみたいなのは、
あまり好きではないから。
「わかっているなら、いいんです。あなた、名前は?身分のわかるもの、何も持っていなかったから。」
言われて、
私はナースの顔を見た。
「横浜の…市立病院…。村西センセ…。」
私はそう言って、目をつぶった。
他の事は、面倒だからだんまりを決め込む事にした。