極彩色のモノクローム


「その方が、アナタの担当医?」

問われて、頷く。


ナースは一つ、息を吐き出すと

「じゃあ、連絡取ってみますね。」

と言って、部屋を出て行った。


ここは、何処なんだろう。


私の身元がわからないんだから、
いつもの病院ではないらしい。


少し開いた窓には、
鉄格子。


まぁ、そりゃそうだろう。


波打ち際から入水自殺なんて、
今時、有り得ない。


「あーぁ、苦し。」


一人、呟く。


心電図の音が、

耳障りだ。


私は、

また

死に損ないに

逆戻りした。


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