極彩色のモノクローム
「な…んで?」
私の問いかけに、
マスターはスケッチブックを差し出した。
なんだ…
店に置いて来ちゃったのか…。
開かれていたページには、
村西センセの横顔。
それから、
病院の番号がメモされていた。
「いきなり電話が来てさ、奈津を何処にやったんだって言われたよ。」
村西センセはそう言って、
マスターを横目で見た。
マスターは、村西センセを睨みつける。
「あんなメモ見て、放っておけないだろ。」
マスターは言って、
ベットの横に置いてあった椅子に座った。
村西センセは笑うと、
私の髪を撫でた。
大きくて、
冷たい手。
「とにかく、転院の手続きは進めるからな。」
言われて、私は頷いた。
「それから。」
村西センセは言って、
目を細めた。
「これからは、淳弥が面倒見てくれるらしいから。」