極彩色のモノクローム
「そういうわけだから。来週の頭から検査入院な。部屋は今月末までは使っていいよ。」
村西センセはそう言って、笑ってみせた。
「ここの入院費は俺が出しておくから。」
言われて、私は首を振る。
「いいよ。もらったお金、残ってるし。」
私の言葉に、村西センセは目を細めて
私の頭を掻き混ぜた。
「最後の奈津募金だからさ。いいだろ?」
最後。
その響きがあまりにも淋しくて、
私はその顔を見上げた。
「俺はいつでも奈津の味方だから。なんかあったらおいで。」
その、
無条件に注いでくれる愛に。
私は、その腕を引き寄せて抱き着いた。
フワリと香る、
消毒液の香り。
「ありがとう。」
始めて言った。
ありがとうは、
ちゃんと伝わったらしい。
村西センセは、凄く嬉しそうに笑って
「これからもよろしく。一生診てあげるからさ。」
言われて、
私は
素直に頷いた。
手を振って病室を出ていく後ろ姿が、
閉まるドアで
見えなくなった。