極彩色のモノクローム
バシンと

頬を打った熱い感覚に、

一瞬

何が起こったのかわからなかった。


ジンと痺れる左頬に
手を当てる。


「あ…
ごめん…」


彼は、

自分の手を見つめて、
驚いた顔をした後、
謝った。


この人に、

打たれたんだって

その時わかった。


「ゴメン。」


彼はもう一度そう言って、

熱く火照る頬に当てた私の手に、

手を重ねた。


私はあんまりビックリして、
声も出なくて。


どうして打たれたのか、

この人がなんでこんなに怒ったのか、

ぼんやり考えていた。



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