極彩色のモノクローム
2:タトゥー
その喫茶店は国道を脇道に入った所にある。
奥まった、
袋小路の手前にひっそりとあるから、
常連客以外はめったに来ない。
「奈津、真船さんに水とおしぼり。」
店の入口の飾り気の無い扉を開くと、
マスターが目だけ上げてそう言った。
どうやら、
他の客の為に珈琲を淹れているところらしい。
私は言われるがまま、
奥のテーブル席に座る常連客に水とおしぼりを出した。