極彩色のモノクローム
「私、結婚してるみたいだけど?」


言ったら、彼は笑った。


「しばらくは、不倫でいい。望んだ結婚じゃないんだろ?」


そうサラッと言ってのけた彼に、

私はベットに倒れ込んだ。


「アンタがそんなに思い切った人だとは…新発見だわぁ…」


私が呟くと、マスターは赤くなった目を隠しもせずに、クスリと笑った。


左手を天井に伸ばす。


”7”のタトゥーに笑みを向けた。


奈々は優しいね。


私を引きずり込むんじゃなくて、
陸に
押し返してくれたのね…。


「私、めんどくさいよ?」


言ったら、

彼はアハハと声をあげて笑った。



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