極彩色のモノクローム
「奈津ブレンド春待ちバージョン改良版。」


言われて、私は口を付けた。


「うん、おいし。僕の好み。」


苦味が強いくせに、

その苦味はすぐに柔らかな甘みと酸味に入れ代わる。


他のところで珈琲なんてほとんど頼まないからわからないけれど、

私が飲んだ珈琲の中では

一番美味しいと思う。


「じゃあ明日から店に出しますか。」


マスターは言って、

満足そうに微笑んだ。



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