極彩色のモノクローム

その左頬に触れた。


顔にかかる髪を掻き上げれば、
左側の額から頬骨にかけて色が違うのがわかる。


びくりと、その体が揺れた。


「その時の…跡?」


私の問いに、
マスターは頷いた。


「気持ち悪いだろ?これ見て、女はみんな逃げていく。」


マスターはそう言って、苦笑した。


私は肘をついて体を起こすと、
そっと
その左頬に唇を寄せた。


「別に。
僕の目は”いかれてる”からね。ちょっと色が違うかなくらいにしか見えないけど?」


もしも、私の目が正常だったとしても、

きっと私にとっては
どうだっていい事だったろうけど。


敢えてそう口にした。


< 140 / 173 >

この作品をシェア

pagetop