極彩色のモノクローム
マスターはそれを聞いて、
「お前なぁ…」
と呟くと、フワリと優しい仕種で私の体を胸の中に引き寄せた。
私は大人しく、
その温かな場所に滑り込む。
「しっかし、そんな舌でなんで喫茶店?」
問うと、マスターは少しだけ視線を迷わせて
苦笑を零した。
「俺、バツ1なんだよね。」
言われて、
私はその瞳を覗き込む。
「その時の相手が、喫茶店やっててさ。」
「で、続けてんの?」
まだ、
その人の事好きなの?
口には出さないけど、
少しだけ泣きそうになった。
アナタも、
私だけを愛してくれるわけじゃ
ないの?