極彩色のモノクローム


「上、脱いでよ。」


私の言葉に、マスターは首を振った。


「さすがにこれは…。今、これ脱いで、やる気失せられるとちょっとキツい。」


言われて、私はマスターの体を押して起き上がると、その裾に手を差し込んだ。


「待てって…」


制止する手を払って、
無理矢理に脱がしたシャツ。


薄明かりに浮かぶ、白い肌。


引き締まった綺麗な体。


その、左肩から背中、腰にかけて。


これは、私にも見える。


明らかに、火傷の痕だ。


そっと、そのケロイドに手を伸ばす。


触れるのも躊躇われる程の傷痕。


手が、

震えた。


「触ったら…痛い?」


私の問いかけに、

彼は首を横に振った。


< 144 / 173 >

この作品をシェア

pagetop