極彩色のモノクローム

その傷痕、
ひとつひとつを確かめるように
手を滑らす。


触れる肌の熱さに。


その皮膚の感触に。


いつの間にか、涙が零れていた。


「痛かった…よね?」


呟く。


彼は黙って私を見つめた。


コンロを使わないのも。


店が禁煙なのも。


こんな酷い傷、きっと生死をさ迷うくらいの傷だ。


火の中にいたんだ。

火が…怖いんだ。


当たり前だ。

そんなの。


「怖かったよね…。痛か…っっ」


言葉は唇に遮られた。



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