極彩色のモノクローム
真船さんの向かいに座る。
首を傾げると、真船さんはフワッと優しい笑みを漏らした。
「大体の事情は聞いた。」
言われて、
私は思わずカウンターに視線を移した。
目が合ったマスターを睨みつける。
「俺ね、弁護士やってるんだ。」
真船さんは言って、
ニコリと笑った。
「弁護士さん?」
私の問いに、
真船さんは頷く。
「奈津ちゃん、婚姻届けを書いたり、印を押したりはしてないんだよね?」
問われて、私は頷いた。
「その婚姻を望んでもいないんだよね?」
その言葉に、私はもう一度頷く。
真船さんは何かメモを取ると、私と目を合わせた。
「うん。それならね、その婚姻届けを取下げる事が出来るから。」
真船さんはそう言って、微笑んだ。