極彩色のモノクローム

「明日、定休日でしょ?なんか予定、ある?」


私の言葉に、マスターは


「別にないけど。」


と、首を傾げた。


「一緒にね、行きたい場所があるの。」


マスターはそれを聞いて、
更に首を傾げた。


「俺と?」


そう呟いて、眉をしかめる。


その言葉には、

俺の隣を歩くの?って意味も含まれている。


昔、付き合った女の人が、
隣を歩くのを嫌がった事があったみたいだった。


傷付けられた心は、
簡単には治らない。


「そう、淳弥と。」


俯いてしまったその頬に、
カウンターに乗り上げて触れる。


そっと滑らせると、
マスターは顔を上げて私を見た。


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