極彩色のモノクローム
でもね、勘違いなんだよ。


耳を澄ませて、
怖がらずに聞いてみて。


彼女達の囁き。


「あの人、すっごいかっこよくない?」


ほらね。


私はその顔を覗き見た。


耳まで真っ赤になってる。

私にもわかるような色の変化って、相当なもんよ?


マスターは、
私の視線から逃れるように窓の外を見た。


「思ってるほど、人は気にしてないのよ。」


小さく囁くと、

彼はチラとこちらを見て、


「お前以外に言われても意味ねぇし。」


と言った。


馬鹿ね。


その腕に絡み付くみたいに寄り添えば、


彼は笑みを漏らして

私の髪に

くちづけた。



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