極彩色のモノクローム
ホッと息をついたとたんに、いきなり貫かれた体がビクンと跳ねた。


痛いのか、

苦しいのか。

わからない。


ただ、快感とは違う。


苦痛。


左手を持ち上げて、
タトゥーを見つめる。


奈々。


どうして、死んじゃったの?


私を置いて。


ねぇ、苦しかった?


今、
私が感じている苦痛よりも、
死への苦痛は苦しいのだろうか。


昇りつめる身体とは裏腹に、
私の心は冷え切っていく。


ねぇ、奈々。


今の私を見たら、
奈々は何て言うだろう。

馬鹿な事はやめろって言うのかな。


涙が伝って髪の毛に染み込んでいく。


彼の欲望を
お腹で受け止めた私は、


白く見える天井と
彼の顔をただ、

眺めていた。

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