極彩色のモノクローム
喫茶店のある道は、
袋小路に続く脇道だから、
街灯が極端に少ない。


私は、ゆっくりと歩みを進める。


店の入口の段差に足を引っ掛けた私は、

その木製の扉に手を付いた。


ガラス窓から覗いても、
明かりは点いていない。


「居るわけない…か。」


そんな、ドラマみたいな演出があるわけがないんだ。


大体、

待ってなくていい

なんて言ったのは自分じゃないか。


私は恋人でも何でもないただの客だ。

待っていなくて当然。


それでも、期待した。


もしかしたら、待っていてくれるんじゃないかって。



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